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前々回のお話 http://stalin3.web.infoseek.co.jp/2mc/gallery/3rd/020/ 前回のお話 http://stalin3.web.infoseek.co.jp/2mc/gallery/7th/024/
「ただぁ〜いま〜!」
開け放した勝手口から裏のお宅の女の子の声が聞こえる。 いつも通りの元気な声だ。 ということは、
「・・・ただいま」
いささかぶっきらぼうな太い声。我が家の王子様もお帰りのようだ。
「お帰り 遅かったのね 誰かと一緒だった?」 「・・・ん、別に・・・」 「あ、すぐにご飯よ」 「・・・ああ」
何とも微笑ましいこと。ここのところいつも同時にお帰りじゃないの。 でもね、裏の奥さんによると彼女の答えはこうだそうよ。
「オトモダチ!」
そうそう簡単にはいかないようね。 |
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私の田舎のこの土地に移り住んでもう10年。 会社人間だった主人は最初はどうしてよいのか分からず、ひどく 落ち着かない様子だった。土地の人を小馬鹿にして空気を悪くする 度に、いつも弟が取りなしてくれたものだ。 子供が寄り付かなかった気むずかし屋も、今ではすっかり軽トラと 麦わら帽子が似合う農家のおじさんになった。 どちらかといえば、都会生まれの息子の方を心配していたのだけれど、 こちらの方は物珍しさも手伝って、近所の子たちがずいぶんよくして くれた。 体力的な差もすぐに埋まり、肌の色も土地の子と変わらなくなった。 ただ、木登りではとうとう裏の彼女には敵わなかったようだけど。 |
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時間がゆっくりと流れていく。この土地に生活の場を移して本当に よかったと思っている。 あの子はこの先どんな道を行くのだろう?何かを求めて、再び都会に 出て行くのもいいんじゃないかと思う。何かにつまずいて戻ってきたって 別にいいんじゃないかと思う・・・
そろそろ寒く感じるようになってきた秋風が勝手口から吹き込んでくる。
「あなたもそろそろ衣替えね」
夕暮れの裏庭に、まだ緑色をしたショウリョウバッタが一匹、跳ねた。 |